Display & Video 360(DV360)をAPIやStructured Data Files(SDF)で運用している場合、2026年7月13日までに設定と連携処理の確認が必要です。今回変わるのは、Nielsenを使ったブランドリフト計測と、Demand Gen・YouTubeレスポンシブ広告における事業者名とロゴの扱いです。影響する広告と、運用担当者・開発担当者が確認すべき手順を整理します。
結論
今回の変更日は2026年7月13日です。対応が必要なのは、Nielsenをブランドリフト計測ベンダーに設定している連携と、広告主単位の事業者名・ロゴを設定しているDemand Gen/YouTubeレスポンシブ広告です。管理画面だけでなく、APIの送信値、SDFの列、広告主のデフォルト設定、入稿後の表示を確認してください。
DV360 APIとSDFで何が変わるのか
Googleは、Display & Video 360 APIとSDFに対して、バージョン番号を伴わない2つの変更を発表しました。APIの新バージョンへ移行する話ではないため、現在のバージョンを使い続けていても既存連携へ影響する可能性があります。Google Ads Developer Blogの発表
| 変更 | 7月13日以降 | 主な確認対象 |
|---|---|---|
| Nielsenのブランドリフト計測 | 第三者ブランドリフト計測ベンダーとして新規指定できなくなり、既存設定も削除される | APIの列挙値、Line Item SDF、既存ラインアイテム、計測設計 |
| 事業者名・ロゴの継承 | 未設定の広告は、広告主単位のデフォルト値を継承する場合がある | Demand Gen広告、YouTubeレスポンシブ広告、広告主設定、SDF入稿 |
今回の注意点
エラーになる変更と、エラーを出さず表示内容だけが変わる変更が同時に入ります。前者は連携停止として見つけやすい一方、後者は広告が配信できても意図しないロゴや事業者名が表示される可能性があるため、入稿成功だけでは確認不足です。
変更1:Nielsenをブランドリフト計測ベンダーに指定できなくなる
2026年7月13日以降、NielsenはDV360上で第三者ブランドリフト計測ベンダーとして指定できなくなります。APIでは、LineItemリソースのThirdPartyMeasurementConfigs内で使われるTHIRD_PARTY_VENDOR_NIELSENが受け付けられなくなります。
SDFでは、Line ItemファイルのTrueView Third-Party Brand Lift Vendor列でNielsenを指定できなくなります。Googleの非推奨機能一覧では、既存のNielsen指定も削除されると案内されています。Google公式のAnnounced Deprecations
Nielsenを利用している場合の確認項目
確認項目
- ブランドリフト計測を行うラインアイテムを抽出する
- APIリクエストや設定ファイルにNielsenの列挙値が残っていないか確認する
- SDFテンプレートや社内入稿シートにNielsenの指定が残っていないか確認する
- 7月13日以降の計測方法と代替ベンダーの扱いを担当者間で決める
- 既存設定が削除された後、レポートやダッシュボードに欠損が出ないか確認する
変更2:事業者名とロゴが広告主設定から自動継承される
Demand Gen広告とYouTubeレスポンシブ広告では、広告側で事業者名やロゴを設定していない場合、親となる広告主に登録されたデフォルト値を継承できるようになります。APIでは、広告主側にデフォルト値がある場合、Demand GenのAdGroupAdリソースでbusinessName、logo、logoImagesが必須ではなくなります。
SDFでも、Responsive、Demand Gen Product、Demand Gen Video、Demand Gen Image、Demand Gen Carouselに対して、Business Name列とLogo Asset IDs列を利用できます。対象広告で列を空欄にすると、広告主のデフォルト値が継承される場合があります。
自動継承で起きやすい実務上の問題
| 起きること | 確認不足によるリスク | 対応 |
|---|---|---|
| 複数ブランドを1広告主で運用 | 別ブランドの名称やロゴが表示される | 広告主設定と広告単位の明示値を照合する |
| SDFの空欄を未設定として運用 | 空欄でもデフォルト値が入り、従来と表示が変わる | 空欄を許容する入稿ルールを見直す |
| APIの必須項目チェックを緩和 | 意図せず継承へ依存する | ブランド別に明示指定する条件を決める |
| 入稿成功だけを監視 | 配信は続くため誤表示を見逃す | プレビューと配信面で事業者名・ロゴを確認する |
誰に影響する変更なのか
DV360を利用していても、すべての広告主に同じ作業が必要なわけではありません。管理画面で通常入稿し、Nielsenのブランドリフト計測も広告主デフォルトの事業者名・ロゴも使っていない場合、影響は限定的です。一方、次の運用では優先して確認してください。
- 社内システムや外部ツールからDV360 APIへ入稿している
- SDFを使って広告やラインアイテムを一括作成・更新している
- Nielsenを第三者ブランドリフト計測に利用している
- Demand GenまたはYouTubeレスポンシブ広告を運用している
- 1つの広告主で複数ブランド・複数サービスの広告を管理している
- 事業者名やロゴを空欄にした入稿テンプレートがある
7月13日までに行う対応手順
運用担当者だけ、または開発担当者だけで確認すると抜けが出ます。設定、連携、表示、計測の順に確認してください。
- 対象アカウントを洗い出す:Nielsen計測、Demand Gen、YouTubeレスポンシブ広告、API・SDF利用の有無で一覧化する。
- 現在値を保存する:広告主の事業者名・ロゴ、ラインアイテムの第三者計測設定、SDF、APIリクエストを変更前に記録する。
- 連携処理を修正する:Nielsenの列挙値を送る処理と、事業者名・ロゴの必須チェックや空欄処理を見直す。
- テスト入稿を行う:本番と同じ広告タイプで、明示指定する場合と継承させる場合を分けて確認する。
- 表示を確認する:APIレスポンスやSDF結果だけでなく、広告プレビューで名称・ロゴ・ブランドの組み合わせを見る。
- 監視項目を追加する:APIエラー、SDF失敗行、ブランド表示、計測データ欠損を変更後1〜2週間確認する。
API連携で確認するポイント
APIでは、送信している列挙値やフィールドだけでなく、アプリケーション側のバリデーションも確認します。Google側で必須条件が変わっても、社内ツールが従来の必須チェックを持ったままだと入稿できません。逆に、入力を省略できるようにした結果、意図しない継承が増えることもあります。
SDF運用で確認するポイント
SDFはバージョンごとに形式が異なるため、利用中のバージョンと列定義を確認します。ファイルを一括更新するときは、変更対象外の行を削除してからアップロードし、処理後のResultFileで成功行と失敗行を確認してください。SDFの公式フォーマットと注意事項
変更後に見るべき指標と確認ログ
今回の変更は、広告成果が直接上がる機能追加ではありません。まず見るべきなのは、連携の正常性と表示の正しさです。CTRやCVだけを見ていると、ブランド表示の誤りや計測欠損の発見が遅れます。
| 確認対象 | 見る指標・ログ | 異常の例 |
|---|---|---|
| API | HTTPステータス、エラー内容、失敗件数 | Nielsen指定を含む更新だけ失敗する |
| SDF | Failed ResultFile、列エラー、更新件数 | Nielsen指定行やロゴ列で失敗する |
| 広告表示 | 広告プレビュー、事業者名、ロゴ | 別ブランドのデフォルト値を継承する |
| 計測 | ブランドリフト設定、レポート取得、欠損 | 変更日以降に計測値が途切れる |
| 広告成果 | CTR、CVR、CPA、指名検索 | 表示変更後に成果指標が急変する |
運用担当者と開発担当者の役割分担
運用担当者は対象キャンペーン、正しいブランド表示、計測要件を決めます。開発担当者はAPI・SDFの送信値、エラーハンドリング、ログを確認します。代理店や外部ベンダーを利用している場合も、対応済みかだけでなく、どのアカウントを確認し、どのテスト結果を残したかまで共有してもらうと判断しやすくなります。
確認項目
- 影響する広告主・キャンペーン・ラインアイテムを特定した
- Nielsenを指定するAPI・SDF処理が残っていない
- 広告主単位の事業者名とロゴを確認した
- 複数ブランドでは広告単位に明示設定するルールを決めた
- テスト入稿と広告プレビューを確認した
- 変更後に見るAPI・SDF・計測ログの担当者を決めた
- エラーや誤表示が出た場合の停止・修正手順を共有した
広告運用とLP・計測をまとめて見直したい方へ
広告媒体の仕様変更は、入稿対応だけで終わらせず、表示内容、計測、LP、問い合わせまで一緒に確認すると成果への影響を判断しやすくなります。
DV360 API変更に関するよくある質問
変更日はいつですか?
Googleの発表では2026年7月13日です。変更前に対象アカウントの設定と連携処理を確認してください。
DV360を使うすべての広告主に影響しますか?
一律ではありません。Nielsenのブランドリフト計測、Demand Gen・YouTubeレスポンシブ広告、API・SDF連携を利用している場合は優先して確認が必要です。
APIのバージョンアップは必要ですか?
今回発表された2点はバージョン番号を伴わない変更です。バージョン移行だけでなく、現在の送信値と処理内容を確認してください。
Nielsenの既存設定は残りますか?
Googleの案内では既存のブランドリフトベンダー設定も削除されます。変更後の計測方法を事前に決める必要があります。
ロゴを空欄にすると広告に表示されなくなりますか?
広告主にデフォルトのロゴが設定されている場合、対象広告へ継承される可能性があります。空欄が非表示を意味するとは限りません。
管理画面だけで運用している場合も確認は必要ですか?
API・SDF特有の修正は不要でも、対象広告の事業者名・ロゴやNielsen計測を利用している場合は設定と表示を確認してください。
変更後は何を監視すべきですか?
APIエラー、SDFの失敗行、広告プレビューの事業者名・ロゴ、ブランドリフト計測データの欠損を優先して確認します。
参考情報
- Google Ads Developer Blog:July 2026 changes for Display & Video 360 API and Structured Data Files
- Google for Developers:DV360 API Announced Deprecations
- Google for Developers:Structured Data File Format
監修者プロフィール
魚見幸司
AI活用マーケティング総合研究所を運営。SEO、AIO・LLMO、広告運用、LP改善、アクセス解析、WordPress改善を横断し、検索流入から問い合わせまでの導線設計を実務で検証しています。
監修コメント:今回の変更で怖いのは、APIエラーだけではありません。広告が正常に配信されていても、事業者名やロゴが意図せず継承されれば、ユーザーに見えるブランド表現が変わります。開発ログと広告プレビューを分けずに確認することが重要です。

