AIを仕事に取り入れて、どこまで業務を進められるのか。これまで自分はCodexを使い、メディア運営、営業開拓、サービスのLP制作、業務ツール開発、広告分析などに取り組んできました。その中で実践できたのは、個々の作業の効率化に加えて、事業の仮説を立て、実際に動くものを作り、結果を見ながら改善するプロセスにAIを組み込むことです。
今回は「何を何件作ったか」という視点から一段上がり、営業・集客・サービス開発をどうつなげられたのかを整理します。公開・運用まで進めたものと、試作・検討段階のものは分けて紹介します。売上や受注、工数削減への貢献をすべて測定できたわけではありませんが、一人で実行できる仕事の範囲がどう広がったかを振り返る実践記録です。
- サービスの構想を、LP・営業文面・実際に動くツールへ具体化してきた。
- 集客や営業を個別の作業で終わらせず、目的・対象・提案理由をつなげて考えた。
- 実装の完了と事業成果は別。試作の本番化、商談・受注への貢献、時間削減は引き続き検証する。
事業全体でAIを使うために、最初に整理したこと
自分は広告代理店のマーケティング事業部長、グローバルマーケティング会社のCMOを経験し、SEO、Web広告、SNS、LINE、LP制作、アクセス解析などに関わってきました。施策をまたいで仕事をしていると、一つの作業を速くするだけでは、事業全体が前に進まない場面があります。
記事ができても、その読者が何に困っているか分からなければ、サービスの提案につながりにくい。営業リストを作っても、相手にとっての提案理由が曖昧なら、文章だけを整えても不十分です。ツールも、機能を実装しただけでは日常業務で使い続けられるとは限りません。
そのため、AIを使う際にも「何を作るか」だけでなく、「誰のどの課題を解決し、作ったものを次の仕事でどう使うか」を考えるようにしてきました。この記事で扱うのは、そうした実行のつながりです。
| 領域 | 実践したこと | 次につなげる仕事 |
|---|---|---|
| サービス設計 | 提供価値や訴求を整理し、LP・営業提案へ具体化 | 顧客の反応を確認し、説明や条件を見直す |
| 営業戦略 | 対象企業の条件、提案理由、優先順位を設計 | 接点を作り、提案の適合性を確かめる |
| 集客基盤 | メディアを構築し、公開・点検・改善まで運営 | 訪問後の行動や相談との関係を見る |
| 業務開発 | 現場の繰り返し作業を専用ツールへ実装 | 試作を確認し、運用できる条件を整える |
| 意思決定支援 | データを比較し、課題と施策の優先順位を整理 | 根拠のそろった施策から実行を検討する |
| 業務の標準化 | 経験をルール・チェック項目・引き継ぎ資料として蓄積 | 次の案件で再利用し、必要に応じて更新する |
この表は、すべての領域で売上効果を確認したという一覧ではありません。自分が実践してきた業務と、そこから次に検証することを整理したものです。
1.サービスの構想を、顧客に提案できる形へ具体化する
サービスを考える際には、アイデアを出すだけでなく、さまざまな要素をつなげる必要があります。誰の、どの課題を解決するのか。何を価値として提供するのか。どのような条件で提供し、どう説明すれば検討してもらえるのか。
LLMO関連の取り組みでは、サービスの訴求や成果報酬型の見せ方を整理し、LPや営業文面へ落とし込みました。ここで実践したのは、サービス設計と販売の準備を一緒に進めることです。
機能の説明から、顧客が判断するための説明へ
提供側が伝えたい機能だけでなく、顧客が気になる費用、期待できること、相談する理由を整理する。その内容をLPと営業文面でそろえ、提案に使える状態まで具体化しました。
訴求を考える作業と、ページを作る作業が離れていると、検討した内容が制作に反映されないこともあります。AIと対話しながら構想を整理し、その場で制作・実装へ進められることで、考えた内容を実際の顧客接点へつなげられました。
ただし、LPが完成したことと、顧客に価値が伝わって受注したことは別です。前者は制作・実装の結果であり、後者には相談や商談のデータが必要になります。ここを混ぜずに振り返ることが、次の改善にもつながります。
成果報酬の訴求でも、何を成果とするかを先に考える
成果報酬型の見せ方を整理する際にも、「成果」という言葉だけで説明を終わらせないことが重要です。何を観測し、どの条件を満たしたら成果として扱うのか。顧客が期待する事業成果と、提供側が確認できる指標にズレがないかを考える必要があります。
本記事で紹介しているのは、その訴求と販売準備を具体化した経験です。AIからの継続的な引用、検索順位、売上を保証する仕組みが完成したという意味ではありません。条件を説明できる状態にすることと、その条件で事業が成立するかを検証することは、分けて進めています。
2.営業を「誰に、何を、なぜ提案するか」から設計する
営業へのAI活用では、リストや文章を大量に作ること以上に、アプローチの根拠を整理することが重要でした。数が増えても、提案対象と提供価値が合っていなければ、相手が検討する理由にはなりません。
例えば、広告を出稿している企業を候補にする場合、広告出稿を顧客獲得への投資意欲の手がかりとして捉えます。ただし、出稿しているだけで予算やニーズが分かるわけではなく、自分たちの提案が合うとも限りません。
候補企業の選定と提案理由をセットで整理する
企業の事業内容、顧客層、規模、自社サービスとの相性を確認し、優先順位を付ける必要があります。実際の取り組みでは、こうした条件を基に候補を選び、既存リストとの重複を確認し、相手に合わせた提案文を整えました。
ここで扱っているのは、対象選定と提案準備の工程です。リストを作った件数を受注実績として数えたり、文面を作っただけで営業が成功したと評価したりはしていません。準備した内容が商談や受注にどうつながるかは、反応の記録と合わせて見る必要があります。
提携先には、相手側の事業メリットを言語化する
提携先開拓でも、相手にとってのメリットを整理しています。顧問先への提供価値、既存サービスとの差別化、新しい収益機会、実務負担など、相手が判断するための材料を言語化しました。
自分たちにできることを並べるだけでなく、相手の事業のどこに組み込めるのかを考える。新しい収益の可能性だけでなく、運用の負担も含めて説明する。そうすることで、提案を一方的なサービス紹介から、相手が検討できる材料へ近づけられます。
営業対象の選定と提案内容を、一つの仮説として設計する。 その準備工程にAIを組み込めたことが、大きな実践でした。
3.集客を、継続的に育てる事業資産として運営する
オウンドメディアでは、記事制作から公開後の改善まで取り組みました。上流で考えたのは、どの検索ニーズに応え、どのように専門性を伝え、最終的にどのサービスや相談へつなげるかという設計です。
そのためには、個々の記事だけでなく、記事同士の関係も重要になります。全体像を説明する記事と、個別の疑問を解消する記事を用意する。関連する内容を内部リンクでつなぐ。似た記事が同じ検索意図を扱っている場合は、役割を整理する。読者が次に知りたい情報や相談先へ進めるようにする。
こうした考え方を、実際のメディア運営に反映してきました。
制作する体制と、公開後に見直す体制を両方作る
公開後には、インデックス状況や記事品質を点検し、改善対象を選定しています。表示の不具合や、古い内部リンク、読者向けではない編集用の表現が残っていないかなども、見直しの対象です。
実践できたのは、コンテンツを作り続ける体制と、蓄積したコンテンツを見直す体制の両方を整えることでした。記事を増やすだけでなく、公開済みの情報を読者が使える状態に保つことも、メディア運営の仕事として扱っています。
一方で、すべての記事が検索流入や問い合わせにつながったという意味ではありません。作成、公開、インデックス、検索表示、クリック、相談は、それぞれ別の段階です。改善対象を選ぶときも、どの段階で止まっているかを分けて考えます。
AI引用も、訪問や相談とは分けて計測する
検索やAI引用のデータは、取り組みを振り返るための材料になります。ただし、AIに引用された回数と、その結果サイトへ来た人の数を同じ成果として扱うことはできません。
自分のメディアでは、検索・AI引用・流入を分けて記録する実践も進めています。具体的な確認データと限界は、GEO・LLMO・AIO対策の実測記事にまとめました。本記事では個々の数字の紹介よりも、計測と改善を運営の工程に組み込んだ点を重視しています。
4.自社の業務に合わせたツールを開発する
繰り返し行う業務については、専用ツールを作る取り組みに発展しました。店舗情報から提案ページを作る仕組みや、写真を配置してSNS投稿画像を生成する仕組みなどです。
ここで考えたのは、業務のどこを共通化できるかということでした。案件ごとに変わる情報と、毎回同じ手順で行う処理を整理する。共通する部分をツールにまとめ、担当者が内容の判断や最終調整に取り組めるようにする。
この流れを通じて、現場の「毎回ここに手間がかかる」という課題を、機能として実装できました。
作れる機能より、現場で繰り返している工程から考える
AIを使うときも、作れそうな機能を先に増やすのではなく、業務のどの部分を支援したいかを出発点にします。入力する情報、共通する処理、最後に人が確認する部分を分けると、ツールに任せる範囲を考えやすくなります。
例えば、提案ページの形式を共通化しても、相手の課題に合っているかの判断は残ります。SNS投稿画像の配置を支援できても、写真の選択や表現が目的に合っているかは確認が必要です。制作工程を支援することと、内容の判断まで無条件に任せることは別です。
試作の完了と、本番で使い続けられる状態を分ける
訪問企業の反応を営業に活用する仕組みについても、試作や計測連携を進めています。一部は本番化前ですが、必要な機能を具体的に動かしながら検討する段階まで進みました。
これは、すべての訪問企業を特定できたという主張や、営業成果を確認したという話ではありません。今回の紹介範囲は、仕組みの試作と連携の検討です。本番運用では、取得できる情報の範囲、精度、情報管理、実務での使い方を確認する必要があります。
業務上の課題を見つけ、その解決方法を自分たちで形にする選択肢が広がったと感じています。完成したツールの数だけでなく、業務課題を具体的に検討できるようになったことも重要な変化です。
5.数字を基に、次の投資先や改善の順番を考える
広告やSNSの分析では、数値をまとめるだけでなく、次に何を優先するべきかを検討しました。アクセスが増えたとしても、注文が増えたとは限りません。クリック単価が安くても、購入につながっているかは別途確認が必要です。
実際の分析では、流入、注文、客単価、スマートフォンでの利用状況、計測の不足などを照らし合わせました。その結果、広告費を増やす前に、購入計測や購入導線を整える必要性を整理したケースもあります。
このように、AIを使って複数の情報を比較し、判断の前提を明らかにすることで、施策の優先順位を検討できました。
分析で分かったことと、その後に改善したことは別
計測の不足を見つけたことは、分析上の発見です。しかし、その時点で計測を修正したことや、注文が増えたことまでは意味しません。どこまで実施したのかを分けないと、提案を実績として扱ってしまいます。
「何か施策を追加する」だけでなく、今あるデータから何が言えて、何はまだ判断できないのかを整理することも、実践できた活用の一つです。
この考え方は、Google広告とGA4を確認してレポートを作ったケースでも共通しています。そこで確認したのは、予約関連イベントの名前と実際の計測条件の違いでした。購入導線の分析とは別の事例ですが、指標の意味を確かめてから改善を考えるという点でつながります。
具体的な作業手順と、実施していないことの区分は、Codexで広告分析からレポートまで進めた実務記事で紹介しています。
6.個別の経験を、繰り返し使える業務の仕組みにする
取り組みを重ねる中で、記事の確認項目、営業リストの選定条件、提案文の作り方、公開前後の点検手順なども蓄積してきました。最初の案件では試行錯誤が必要でも、その経験を次の案件で使える形に残せます。
例えば、記事の公開時に見つかった不具合をチェック項目に加える。営業文面の修正で分かった条件を、次回の作成ルールに反映する。ツールのソースやデータを整理し、引き継げる状態にする。こうした積み重ねによって、AIの活用が日々の業務手順にも反映されるようになりました。
成果物と一緒に、判断の理由を残す
完成した文章やツールだけでは、次の案件で何を変更すべきか分からないことがあります。どの対象を想定し、何を確認し、どこはまだ検証できていないのか。そうした前提が残っていると、再利用の際に過去の条件をそのまま当てはめずに済みます。
ただし、ルールを残せば誰でも同じ成果を出せると証明できたわけではありません。実務の条件が変われば、確認項目や選定条件も見直す必要があります。標準化は一度作って終わりではなく、経験を基に更新する工程として考えています。
成果物を作ると同時に、次の仕事を進めるための知識と手順を残す。 そこまで含めて、業務の標準化を進めています。
次に検証するのは、実行が事業成果へどうつながるか
ここまでの実践で広がったのは、事業仮説を検証するための実行範囲です。これらの実装が、どれだけ売上や受注、工数削減につながったかは、今後も測定していく必要があります。
以下は、今後の検証で結び付けたい項目の整理です。現在すべての数値を取得できているという表ではありません。
| 実行したこと | 次に確認したいこと | 混同しないこと |
|---|---|---|
| LP・提案文の具体化 | 相談、商談、受注、提案への反応 | LP完成と受注実績 |
| 営業候補と提案理由の整理 | 対象との適合性、反応、商談化 | リスト件数と見込み顧客数 |
| 記事の制作・改善 | 検索流入、読者の行動、有効相談 | 記事数・AI引用と売上 |
| 専用ツールの実装・試作 | 実務での利用、修正負担、作業時間 | 試作の動作と本番運用の完了 |
| 数値分析・改善案 | 提案の実施状況と、その後の変化 | 問題の発見と成果の改善 |
| 手順・資料の蓄積 | 次回の再利用、確認漏れ、引き継ぎ | 文書化と再現性の証明 |
作業時間を測る場合も、AIが出力する時間だけでなく、人が依頼し、確認し、修正する時間を含めて考えたいと思っています。商談・受注についても、AIを使ったという事実だけで貢献を決めず、対象や提案内容、実施時期などの条件と合わせて振り返ります。
まとめ:AIを事業の実行に組み込むということ
サービスの構想から、集客・営業の準備、ツール開発、運用改善まで、AIを使って実行できる範囲は広がりました。その変化は、個別の文章や画像を作ることだけではありません。考えたことを制作や実装へ進め、確認した結果を次の判断へ戻すところまで、仕事をつなげられるようになったことです。
一方で、人が担う役割も残っています。何を目指すのか。誰に何を提供するのか。公開してよい内容か。実際に設定を変更してよいか。出力が事実や事業の条件に合っているか。こうした判断まで、AIの回答だけで決めるわけではありません。
実践できたのは、事業仮説を検証するための実行範囲を広げることでした。今後は、この実行の仕組みに作業時間や商談・受注のデータを結び付け、どの取り組みが事業成果につながるのかを検証していきます。
自分の経歴と、AIを使って仕事の範囲を広げてきた背景は、元CMOによる一人マーケティングの実践記録でも紹介しています。
執筆:魚見幸司。2026年9月16日時点の本人による実践の振り返りです。個別案件の名称、顧客情報、非公開データは掲載していません。一部の開発は試作・本番化前であり、売上、受注、工数削減への効果をすべて測定したものではありません。本文は特定のCodex環境での経験を整理したもので、すべての環境に同じ機能・連携・実行権限が備わることを示すものではありません。

監修者プロフィール
魚見幸司
生まれ(32歳)
メディア運営:魚見幸司
SEO、Web広告、SNS・LINE運用、LP制作・改善、アクセス解析、コンテンツマーケティング、生成AI導入を横断するデジタルマーケティングの専門家。広告代理店で最年少マーケティング事業部長を務め、グローバルマーケティング会社のCMOを経験しています。
成果指標から施策を逆算し、小規模検証から標準化へ進める方法と、人の確認を残した半自動化を重視。SEO・広告・SNS・LP・問い合わせを分断せず、事業成果までつなげる実務検証を行っています。
編集方針:公式情報と設計例を区別し、実行していない例を実測結果として扱わないことを重視しています。 プロフィールと専門分野を見る

