アライアンス提案書で会社概要と市場規模を長く説明しても、相手は社内稟議へ進めません。必要なのは、なぜ自社と組むのか、顧客に何が起きるのか、誰が何をするのか、どこまで試すのかという判断材料です。
本記事では、初回面談用と社内検討用を分け、アライアンス提案書の構成、数字、役割、検証計画、リスク、次の行動を整理します。
- 相手企業と共通顧客を主語にする
- 役割・利益・負担を具体化する
- 全社提携ではなく短期検証を提案する
アライアンス提案書の目的
提案書の目的は、自社の魅力を説明することではなく、相手が提携の事業価値と実行可能性を判断し、社内関係者へ説明できる状態を作ることです。
初回面談では仮説を短く示し、相手の情報を得た後に社内検討版を更新します。最初から完成版を作り込みません。
提案書を読む関係者を分ける
事業責任者は市場と収益、営業は顧客と提案、開発は仕様、法務は権利と責任、経営は戦略と投資を見ます。読み手ごとの判断材料を整理します。
- 事業:売上・顧客価値
- 営業:対象顧客・案件
- 実務:役割・工数
- 法務:情報・権利・責任
- 経営:戦略・投資・リスク
初回面談版と社内検討版の違い
| 版 | 目的 | 量 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 初回面談 | 仮説確認 | 5〜10枚 | 顧客・価値・小規模検証 |
| 社内検討 | 承認判断 | 必要範囲 | 市場・収益・体制・契約・リスク |
初回版を一方的に説明せず、質問と仮説検証に使います。
提案書の基本構成
背景、共通顧客、顧客課題、共同価値、提携形態、双方の役割、収益・費用、検証計画、KPI、リスク、次の行動の順で構成します。
会社紹介は、提携を実行できる根拠となる実績・体制だけに絞ります。
提案書を相手企業向けに変える編集手順
提案書の一ページ目で自社の沿革を説明する必要はありません。相手企業が現在強化している市場や顧客課題を公開情報から整理し、『貴社のこの方針に対し、当社のこの資産を組み合わせる』と仮説を示します。相手の固有名詞を置き換えただけの共通資料は、検討理由を作れません。
提案の効果は双方に分けて記載します。自社の売上だけでなく、相手側の顧客単価、解約防止、提案領域、導入速度、営業生産性のどれが変わるかを示します。数値を断定できない場合は、検証期間に何を測り、どの数値なら次の投資へ進むかを書きます。
提案後の次の行動も具体化します。秘密保持契約を最初のゴールにせず、顧客仮説の確認、現場担当者との検討、試験顧客の選定など、価値を確かめる会議を設定します。契約条項の協議は、検証する内容と双方の役割が見えてから進める方が、目的のない長期交渉を避けられます。
- 相手の経営・事業方針と接続する
- 双方の効果と検証指標を分けて書く
- 次回会議で決める内容まで提示する
提案書に添える資料
提案書だけで判断を求めず、想定顧客の一覧、共同提供時の利用フロー、役割分担表、検証スケジュールを添えます。機密情報は段階に応じて開示し、初回提案では公開情報と仮説で十分です。相手から社内説明用の資料を求められたら、相手の意思決定者が比較する費用、効果、リスク、必要工数を一ページにまとめます。提案版数と合意事項を記録し、口頭で決まった役割が後から変わらないようにします。先方の修正要望には、目的を確認してから反映し、資料だけが大きくなる状態を避けます。初回資料は十枚前後を目安にし、詳細条件は別紙へ分けます。読む順番と意思決定が一目で分かる構成にします。
- 相手企業固有の仮説
- 共通顧客が明確
- 単独提案との差
- 相手の利益と負担
- 役割・費用・責任
- 90日の検証計画
- KPIと継続判断
- 次回担当と期限
相手企業のメリットを数字にする
新規売上だけでなく、既存顧客単価、解約抑止、営業効率、商品価値向上を試算します。前提を明記し、確約ではなく仮説として示します。
相手の営業担当者一人あたりの説明・提案工数や、自社が提供する支援も数字にします。
提案書を作る手順
- 公開情報調査
相手事業と顧客を確認します。 - 提携仮説
共同価値を一文にします。 - 初回版作成
判断論点を絞ります。 - 面談
懸念と社内構造を聞きます。 - 検討版更新
収益・役割・リスクを追加します。 - 次回合意
検証担当と期限を決めます。
提案後の進行管理
送付して待つのではなく、誰が誰へ説明し、追加資料は何で、いつ判断するかを確認します。
相手の社内稟議に必要な一枚要約、FAQ、セキュリティ・契約資料を用意します。
通らない提案書の特徴
市場規模が大きい、自社技術が優れているという説明だけでは、相手が動く理由になりません。
- 相手企業名だけ差し替える
- 共同顧客が不明
- 相手の負担を書かない
- 全社提携を最初から求める
- 次の行動がない
提案書の改善指標
資料閲覧数ではなく、次回面談、関係部署参加、検証提案、合意までの進行を追います。同じ懸念が続く場合は構成を直します。
| 段階 | 確認指標 | 改善する対象 |
|---|---|---|
| 初回 | 返信・面談化 | 仮説と宛先 |
| 面談 | 関係者・質問 | 判断材料 |
| 検討 | 追加資料・検証合意 | 収益とリスク |
| 実行 | 開始日・担当・KPI | 計画具体性 |
まとめ
アライアンス提案書は自社紹介資料ではありません。相手が顧客価値、事業利益、負担、リスク、検証方法を判断できる構成にし、面談で更新します。
よくある質問
提案書は何枚がよいですか?
初回は5〜10枚程度に絞り、社内検討で必要資料を追加します。
テンプレートを使えますか?
骨格は使えますが、相手企業固有の顧客・事業仮説へ書き換えます。
市場規模は必要ですか?
必要な場合がありますが、共同で狙える範囲と前提を示します。
成果が出るまでどれくらいかかりますか?
接点づくりだけなら短期間でも進みますが、契約と稼働には社内審査が必要です。90日で初回活動までを検証し、継続判断する設計が現実的です。
NDA前にどこまで書きますか?
公開情報と仮説までにし、機密情報はNDA後に共有します。
提案書作成を外注できますか?
可能ですが、事業判断と相手固有の仮説は自社責任者が確認します。
提案後に返信がない場合は?
判断担当、懸念、期限を確認し、短期検証へ提案を小さくします。
参考にした一次情報
相手企業別の提携仮説、提案構成、次回アクションを確認できます。
魚見幸司
AIマーケティング・Web広告の専門家/AI活用マーケティング総合研究所
生成AIのビジネス導入、SEO・GEO・LLMO、AI広告運用、LP改善、アクセス解析、コンテンツ制作を横断し、検索流入と問い合わせにつなげる実務設計を支援しています。
監修者コメント提案書は相手が社内で説明するための道具です。自社の強みより、相手の顧客・利益・負担・検証を中心に置いてください。

